樋口一葉と水仙/樋口一葉の和歌について



樋口一葉の和歌について

 


今回は、一葉が歌を習っていた時に作った和歌の一部を下記に紹介してみました。
一葉は歌人としてはほとんど知られていませんが、24歳という短い生涯で5000を超える歌を詠んだそうです。
樋口一葉の小説は物悲しく暗いイメージがある作品ばかりで、暗い人物なのかと思われがちですが、以外とユーモアのある人らしかったようで、歌の題材に好んで面白い動物「たぬき」や「さる」や「きつね」「蛙」など、普通の歌人はあまり取り上げないユーモラスな動物を多く歌に詠んでいたようです。
花の中では梅の花が好きだったようで、春を感じて真っ先に咲く梅は花の中でも「花の兄」と呼ばれているそうですが、
そんな他にさきがけて真っ先に咲く梅の花が好きだったというのはいかにも一葉さんらしいなあと思います。

樋口一葉の小説はテンポがあって流れるような文体で、文章を目読するよりは声に出して読むとわかりやすいのですが、読みにくくてわかりにくいという方には幸田弘子さんの朗読をお聞きすることをお勧めします。








◆ おちこちに梅の花さく様見れば いづこも同じ春かぜやふく (明治17年)
◆ 大空もひとつにみえてわたつ海の みずの限りはしられざりけり (明治21年)
◆ しのばずの池のおもひろくみゆる哉 うえのゝ岡に月はのぼりて (明治24年)
◆ 惜しみてもかひなかりけりいざさらば 風に木の葉はまかせてをみん (明治21年)
◆ 秋はたヾそのことゝなくみにしみて 色なき風も悲しかりけり (明治21年)
◆ 咲きぬともしらで過ぎにし梅が香を さそひきにけり軒の春かぜ (明治20年)
◆ 思うどち分けし花のをしのぶ哉 よもぎが宿の萩のさかりに (明治23年)
◆ おもふどち雪まろげせしいにしへを 火をけのもとにしのぶけさ哉 (明治24年)
◆ おもうことすこしもらさん友もがな うかれてみたき朧月よに (明治28年)
◆ とにかくにふみこゝろみん丸木橋 わたらで袖のくちはてんより (明治27年)
◆ よの中をよこにのみはふかにながら 心は清きみずにこそすめ (明治21年)
◆ よの中は梢をつたふ山ざるの 身のかろきこそ安けかりけれ (明治23年)
◆ 難波江のうきみをつくしくしくしと 者おもふみをひとしるらめや (明治25年)
◆ 時にのる人とはしるし馬車 みやこ大路にとゞろかしつゝ (明治25年)
◆ 舟うたの声うら寂しかり寝する 淀の渡りの秋の夕暮れ (明治26年)
◆ 打群れてあさるすゞめの鳴く音さへ 寒く聞ゆる冬のゝべ哉 (明治27年)
 月というつきの光もみえぬかな やみをやみとおもわざる身は
 行水のうきなも何か木の葉舟 ながるるままにまかせてをみん
     以上、一葉祭の講演資料より抜粋


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