樋口一葉と水仙/樋口一葉小説第七作品「曙月夜」のあらすじ



樋口一葉小説 第七作品 「暁月夜」のあらすじ


「暁月夜」とは明け方の月が残っている頃や明け方の月そのものをさす。「有明の月」と同じである。

あらすじ

牛込の江戸川べりに従三位香山という華族があり、その中の娘の一重(二十歳)は素晴らしい美人であったが、どういうつもりか少しも縁づこうとはしない。その噂を聞いた学生の森野敏は興味を持ったが、一目見てから恋のとりこになってしまった。ついに彼は休学し、名を吾助と変えて、香山家に庭男として住み込む。そして一重と仲の良い次男の甚之助を手なずけ、彼の手を通して恋文を届けさせた。しかし、いくら恋文を送っても一重は何の反応も示さず、そればかりか鎌倉の別荘へ一人引きこもろうとした。
敏は一重が鎌倉へ行こうとするその前夜、彼女の部屋を庭からいうかがう。一重は封をきらない恋文を胸に抱き、泣いていた。敏は戸をあけ月をみようとした一重をとらえ、思いを直接吐露しようとする。一重は敏を部屋に招き、自分の生い立ちを語る。
一重の母は香山家の当主の妹で、花という姫君だった。十六歳の時、馬廻りの六三と恋におちいり、月足らずの子を産むや、はかない生を終えた。当主に言い含められ身を引いていた六三もこれを知るや、大川に身を投げて、後を追ったのである。
こうした身の上を語り、一重は恋を断念し世を捨てる決意を敏に言いきかす。
こうして二人は別れたが、その別離を見守るのは有明の月ばかりであった。

全集 「樋口一葉」 小説編より




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