樋口一葉と水仙/樋口一葉小説第二十二作品「われから」のあらすじ



樋口一葉小説 第二十二作品 「われから」のあらすじ



あらすじ

二十六歳のお町は家付き娘で、少壮政治家の金村恭助の妻である。
美貌で派手な性格で、物惜しみをしない鷹揚さが人目をひくが、内面では愛に飢えている女性である。
子供もいないし、恭助が留守がちなので、その空虚感をまぎらわすために、書生の千葉に親切にしたりするのである。
このお町の父金村与四郎は、かつて大蔵省の下級官僚で、月給八円の生活に満足していた。
が、妻の美尾はそんな彼をふがいなく思い、己の美貌を生かしうる栄華な世界にあこがれていた。
そして母の誘いにのり、従三位の軍人の妾になり、生れたばかりのお町を捨て、母と共に家を出てしまった。
妻のこの裏切りに憤怒した与四郎は金の亡者となり、五十前に死ぬまでに莫大な財産と豪邸を保有するに到ったのである。
こうした母の血がお町にも流れているか、お町は財産に恵まれても、何かしら不安で飢餓感に苦しむのである。
そうした彼女をいっそう不安にしたのが、恭助がこの十年間妾をもち、子を産ませていた事実である。
彼女は不安をかき消すためか、千葉にいっそう親切にする。
しかし、それが噂として広がり、ついに恭助から絶縁、別居押籠めを言い渡されてしまうのであった。

全集 「樋口一葉」 小説編より




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