樋口一葉と水仙/樋口一葉小説第二十一作品「裏紫」のあらすじ

 

あらすじ

お律は西洋小間物店をひらいている身代持ちの小松原東二郎の恋女房である。
しかし、彼女は東二郎に嫁ぐ前から良人と定めた恋人がいた。出世前の学生であるらしい吉岡のことを、いまだに忘れられないである。
そして、彼からの呼び出しの手紙がくるたびに、彼女はやさしい良人の眼をごまかして外出し、逢瀬をかさねているのである。
今日も彼女は吉岡の手紙を仲町の姉から用事といいつくろい、東二郎のやさしさを背後に外出をする。
さすがに彼女は人妻としての罪の意識を感じ、いっそ吉岡と別れようかとも思うが、胸の炎はすぐにそれをかきけしてしまう。
開き直ったような冷やかな笑みさえ浮かぶのであった。

全集 「樋口一葉」 小説編より




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