樋口一葉と水仙/樋口一葉小説第十五作品「にごりえ」のあらすじ


あらすじ

小石川あたりの田圃を埋め立てた新開地の銘酒屋街を舞台にして、お力という美しいが何やら内面に志を秘めているらしい私娼の鬱屈した生と無残な死が描かれる。
お力の内面をくみ取ってくれるのは結城朝之助という高等遊民だが、彼にしても彼女の内面に巣くった暗い情動を全的には理解できない。
むしろお力のために家財財産を失い、妻子すら追い出してしまった源七の方がある意味では彼女のかかえこんだものを共有していたのかも知れない。
盆供養の終わったある夜、源七とお力は死に果てる。
無理とも合意とも噂はしきりだが、全てはそうした噂の中に消えていったのである。

 

全集 「樋口一葉」 小説編より




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