樋口一葉と水仙/樋口一葉小説第十四作品「ゆく雲」のあらすじ



樋口一葉小説 第十四作品 「ゆく雲」のあらすじ



あらすじ

二十二歳の野沢桂次は今悲しい気持ちを抱いて東京を去り、山梨県大藤村の中萩原の養家に帰ろうとしている。
桂次は貧農の子だが、七歳の時に大地主で酒造家の野沢家に養子としてむかえられたのであった。
十八歳の時に学問修業のため上京し、野沢家の親類の上杉家に下宿した。
当主の勝義は気難しいし、後妻は虚栄心のかたまりのような女であり、桂次にとって厭な家だった。
その中で彼が今まで我慢してきたのは、先妻の娘お縫にひかれたからだった。
継母のつらい仕打ちに耐えて、ひっそりと暮らすお縫に彼は同情し、いつか愛するようになったのである。
しかし、養父が危篤との報に、彼は養家にもどり、六歳下のお作と結婚し、家督を継がなければならなくなった。
彼は男泣きに泣き、終生便りを欠かさぬと縫に言い残し、悲痛な想いで帰郷するのである。
その後、お縫のもとには一年間ぐらいは便りがしげくあったが、多額納税者の地位に満足したのかそれからは年始と暑中見舞いの葉書きが舞い込むだけとなった。

全集 「樋口一葉」 小説編より




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