樋口一葉と水仙/樋口一葉小説第十作品「花ごもり」のあらすじ



樋口一葉小説 第十作品 「花ごもり」のあらすじ



「花ごもり」という言葉は一葉自身の造語である。一眼nかくれて花が咲く様子、あるいはその花のことで、恋をあきらめ田舎に引きこもろうとするお新の生き方を象徴している。

あらすじ

本郷のある家に三人の家族が住んでいた。当主の瀬川与之助(二十三歳)は法学士で、今は出版関係の仕事をしているが、判事試験に合格することをねがっている。
お新(十八歳)は従妹で。両親を失い、八歳の時から瀬川家に養われている。二人は仲が良く、ほとんど許婚者の関係にある。与之助の母のお近もこの二人の仲を喜び、三人の水入らずの家庭を楽しんでいた。
が、お近の亡夫の友人の未亡人お辰から縁談が持ち込まれてから、お近の態度は一変した。
歌留多会で与之助を見染め、是非にとねがっているのは、有名な某省次官の娘お広といった。
むろん、お近はお広を知らないが、相手が裕福でしかも実力者の娘ときくと、与之助の将来ひいては自分の将来を考えて、この話に乗ったのである。
与之助お新への愛ゆえに、初めは頑強に拒否し続けたが、お近やお辰の熱心で巧妙な説得にいつの間にか屈服させられてしまった。
お近とお辰はすぐさまお新を家から出すことを画策し、お新に旧諸侯の奥勤めか、田舎へ引きこもろる画家夫妻の話相手かのいずれかを選択するよう迫った。
うすうす事情を察知していたお新は自ら進んで田舎行きを希望し、与之助に、絵を習い、恋しい時には姿を描いて心を慰めると伝えた。
与之助はそれを聞き、一人胸のうちで泣くばかりであった。

全集 「樋口一葉」 小説編より




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