樋口一葉と水仙/樋口一葉小説 第一作品 「闇桜」のあらすじ



樋口一葉小説 第一作品 「闇 桜」のあらすじ



闇桜は一葉の文壇的処女作。
闇という語には恋に迷う女心の苦しさがこめられている。それと小説の結びに生かされた自作の
「風もなき軒ばの桜ほろほろと散るかと見れば暮れそめにけり」のはかないイメージが結びついた時、
「闇桜」という題名が決定された。

あらすじ

垣根はあるものの、一本の梅の木を共にながめ、ひとつの井戸を共に汲む両家があった。
一方の園田家は主人はなくなっていたが、一人息子の良之助という22歳の学生が跡をを継いでいた。
もう一方の中村家には16歳の可愛い一人娘千代がいた。
二人は幼いころから兄妹のように仲がよく、今でも千代は良之助を兄のように慕い、かつ甘えていた。
そんな2月半ばのある夕暮れ時、ふたりは連れ立って摩利支天の縁日に出かけた。
その折り、良之助のたわいない冗談にすねたり甘えたりする千代の背をだしぬけにたたく者がいた。
千代の学友たちであった。彼女らは「おむつましいこと」の一声を残してかけ去っていった。

その時以来、千代ははじめて良之助への恋心を自覚した。そして、それをうちあける勇気を持てないままに、、
忍ぶ恋の苦しさに悩むようになった。
恥ずかしさと恨めしさに良之助に顔を見せることなく、ひとり悲しみと苦しさに打ち沈む千代は
ついに床に伏す身となってしまった。

良之助が千代の心を知った時はすでに遅かった。
形見の指輪をはめて見舞う良之助の眼にも今夜かぎりの命とみえた。
千代に言われて帰ろうとする良之助に彼女の「お詫びは明日」という言葉がはかなく聞こえた。
軒端の桜がほろほろとこぼれ、鐘の音がかなしく響く夕やみ時であった。

全集 「樋口一葉」 小説編より






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