しまきりゅう創作人形・創作人形館/樋口一葉と水仙/人形館にやってきた市松人形

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人形館にやってきた市松人形

2010年03月03日

人形町しまきりゅう創作人形館/おばあさんの市松人形この市松人形は、お客様から寄贈された裸のままの市松人形を当人形館で、組み立てから着付けまでを行った市松人形です。いきさつは・・といいますと・・

人形館をオープンして間もなくのこと、ひとりのおばあさんが、びっしょりと汗をかきかき人形館にやって来られました。血圧がお高いのか、とても苦しそうにしていらっしゃいました。椅子に腰かけていただき、お話をお聞きしました。
おばあさんは「私には子供がいないのです」とお話をされました。
それで子供の代わりに、お人形を収集なさっていたそうです。
この人形たちもそのひとつ。人形館に来た時は、男の子は買った時のまま、裸で箱に入っていました。女の子は、人形教室で習われたとかで、顔、手、足、胴体と部品は出来てはいましたが、まだ組み立てられていなくて、全部バラバラの状態でした。
おばあさんは、この女の子のお人形に着物を縫って着せてあげようと思っていたそうです。ところが具合が悪くなってしまい着物どころか、人形も未完成のままになってしまい、これでは心残り。そうかと言って捨てる気にはなれない。「どうかこのお人形を組み立てて、女の子の晴れ姿を見せてほしい」と、おっしゃったのです。
 
オープンしたてで何やかやと忙しかったので、お雛祭りの時までには仕上げますので、どうかその時までお元気でいて下さいね、とお約束し、おばあさんも嬉しそうなお顔をなさり帰っていかれました。
 そして、約束通り翌年のお雛祭りまでに女の子のお人形を組み立て、着物を縫い、着付けをしてあげて、無事女の子のお人形の晴れ姿をおばあさんにお見せすることができました。
 それで、おばあさんからのご注文は終えることができたのですが・・・気になるのは男の子。裸のままでは可哀想だし・・・と気になること2年。
 色々な仕事をこなし時間もなく、お人形の着物の布を選ぶこともできずにいました。
人形館がオープンして丸3年がたつのを機に、気になることを少しづつかたづけはじめていました。男の子の市松人形も、もちろんそのうちのひとつでした。しかし、男の子の市松人形は55pと大きく、着物の布も端切れとはいえないくらいたくさん必要となります。しかもおばあさんが丹精込めて作った女の子の人形を引き立たせる着物でなくてはいけない。そして市松人形なので、やはりそれなりの品格も出さなくてはいけない。
 あれやこれやと探しまわり、やっと気に入った布を見つけることができましたので、3月3日までには完成させたいと思い、一生懸命縫い上げ、やっと本日完成させることができました。おばあさんが見に来られたらきっと喜んで下さるだろうなあと安堵するとともに、やっとこれでおばあさんからのご依頼の仕事は完全に終わらせることができたとホッとしました。気がかりなことが全て終わり今は解放感で一杯です。

 明治の頃は、家制度(戸主制度)の陰で、お嫁にいかれない女性も多くいたそうで、そういう女性は子供もなく、寂しい思いをして一生を終えたそうです。樋口一葉も、ある意味で、家制度(戸主制度)の犠牲になった人といえるかもしれません。
 そういう寂しさをなぐさめてくれていたのが市松人形だったということを何かで読んだことがあります。
そういう意味では、このおばあさんからいただいた市松人形は、しまきりゅうの創作人形ではないけれど、明治をテーマとする「しまきりゅう創作人形館」には合っているかなと思い、人形館に飾らせていただくことにしました。 
多くの皆様に見ていただけたら、お人形さんもきっと喜んでくれるだろうと思います。                                                                                                                                                


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