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あらすじ 結婚三年目の若妻である「私」の独白で全体が成り立っている。一葉小説の中で唯一の口語体小説。 私は生れて間もないこの子が可愛くて仕方がありません。それどころかこの子に感謝しているのです。 私は三年前に裁判官山口昇のもとに嫁ぎました。当座は仲が良かったのですが、馴れるにつれてお互い生地が出てきてうまくいかなくなりました。 私は生来、勝気で直情的な性格でしたから、夫の態度が気にかかるとすぐそれを言葉や行動で表わし、その反応がないとくやしくて口もきかず物も食べず、婢女などに八つ当たりをしました。 それが重なって、とうとう夫との仲は決定的になってしまいました。 夫にやさしい言葉もかけず、世話もせず、客すらろくに接待もしなかったので、夫もしだいに家をあけがちになってしまいました。 面白くてする放蕩ではないので、柔和な夫もしだいに粗暴になり、私もますますヒステリックになりましたので、家の中は荒廃してしまいました。 そんな時、この子が生れたのでした。 そしてこの子をなかだちにして私と夫の心はとけあったのです。 ですから、この子は私どもにとって守り神のように有難い存在なのです。 |
全集 「樋口一葉」 小説編より
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